懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

【読書】今年読んだ本を振り返る【2018】

自分のなかでのコミケも終わって、いよいよ年の瀬、長かった2018年もそろそろカーテン・フォール。なにかと振り返ることが多い時期ですが、自分の場合はやはり読書。今年はなにを読んだっけか。正直いうともうほとんど覚えてません。読んだはしから忘れていくのが読書なのだから当然っちゃ当然ですね。それでも強烈な印象を残した本が今年もたくさんありました。その辺を中心に今年読んだ本を振り返っていきたい。
 
さて、そもそも今年読んだ本のタイトルをすべて覚えているかといえば、そんなわけがなく、そんなときに重宝するのが読書メーターさん。今年も本当にお世話になりました。管理人のアカウントはこちら→ https://bookmeter.com/users/96534
 
で、読書メーターの記録によると、自分が今年読んだ本は合計70冊。分冊本もいくらかあるので作品数でいえばもう少し減る印象。とはいえ長編も含んだアンソロジーなどもいくらか読んでいるのでもしかしたら増えるかもしれない。ま、どう数えるのは置いておいて、きりがよいので70冊ってところで。
 
だいたいにおいて人間の記憶ってやつは古いものから薄れていく。だからある期間のことを振り返るとなると、最初の方のことは印象としても薄い。やはりよく覚えているのは近くのことで、ここ最近は読書数ががっつり減っていたから、この70冊の大半は今年の前半に集中していることになるのは間違いないところ。そう思うと、70冊という数字は思った以上に読んでいたなぁという印象になる。けれど後半読めなかったから、もっと読めたはずなのにという印象にもなる。なんとも微妙なところ。
 
70冊の中身を見ると、9割5分くらいが推理小説である。あとはSFとか。たしかに普段からミステリを読むことが多いけれど、これほど偏った年はなかったかもしれない。図らずも2018年はミステリの年になったようだった。ただ、読んだ作品は古いものばかりで、新作はひとつもなかった。
 
作者別で見ると、横溝正史がいちばん多くて11冊。次いで二階堂黎人の7冊。飛び抜けているのはこのおふたりで、その他は広く浅くといった感じ。
 
具体的に作品名を挙げていきましょう。今年新しく読んだ本のなかでとりわけ印象に残っているものは以下の通り。
 
殊能将之『キマイラの新しい城』
島田一男『古墳殺人事件』
詠坂雄二『遠海事件』
法月綸太郎『ノックス・マシン』
小栗虫太郎『人外魔境』
麻耶雄嵩『螢』
小松左京『継ぐのは誰か?』
太田忠司『月光亭事件』
カーター・ディクスン『九人と死で十人だ』
ジョン・ウィンダム『トリフィド時代』
エラリー・クイーン『シャム双子の謎』
アントニイ・バークリー『ジャンピング・ジェニイ』
ドロシー・セイヤーズ『殺人は広告する』
 
このあたりでしょうか。いずれも過去の名作ばかりで満を持しての読了といったところ。どれをとっても最高に面白かったが、いちばんを選ぶのならアントニイ・バークリー『ジャンピング・ジェニイ』。探偵役が事件を揉み消そうとする言語道断なブラックミステリー笑。やはりバークリーの作風は大好きです。迷探偵シェリンガムのキャラクターも大好き。
 
 
今年は昔読んだ本を再読することも多かった。再読本は以下。
 
中井英夫『虚無への供物』
横溝正史『獄門島』『夜歩く』
高木彬光『刺青殺人事件』
坂口安吾『不連続殺人事件』
創元推理文庫『世界短編傑作集』の新版『世界推理短編傑作集』
 
いずれも説明不要の傑作ばかり。あらためて読んでみて初読時以上の衝撃を受けたように思う。単純に物語として面白いというだけでなく、推理小説としていかによくできているかとか、また違った視点で読むことができて楽しかった。
 
思うにやはり読書とは人生そのものであるということ。人の記憶はあいまいで感情や印象に左右される。本そのものは紙に刷られたインクの染みなのだから劣化はあっても手を加えない限り勝手に変わるものではない。しかし読む方の人間は変わる。年を経るに従っていろんなことを経験して知識の量も増えて感じ方なんかも変わる。そうなると読書も変わる。本そのものは変わらないはずなのに同じ本は二度と読めない。だから読書は面白いし、死ぬまでやめるわけにはいかないと、本当にそう思います。
 
今年も残すところあと1日。もう1冊くらいは読めそうだ。そうなると今年は71冊ということになる。さて、来年は何冊読めるだろう。少しでも積読を崩せるように善処したいです。