懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

【ラーメン】野方ホープ 本店 / 野方

年に一度はここの脂が無性に食べたくなるという類のお店がある。津田沼「なりたけ」、五反田「平太周」、浅草「弁慶」。京都に「セアブラノ神」とかいうそのまんまな名前のお店もあったっけ。ここにいまはなき千葉市松波の「森田や」も加えたいところ。背脂、なんて背徳な響き。

 

都心周辺に何店舗か展開する野方ホープ。本店は名前の通り野方にある。西武新宿線と交差する環七通りを高円寺方面へちょっと南下したところ。駅前というほど駅近くではない。高円寺からでも散歩がてら歩いていけるだろう。

 

注文はのがほ元、850円。もちろん背脂はこてこてで。

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もうなにもいうことがない。キメの細かな綺麗な背脂が大量に溶け込んだスープはさながらポタージュのよう。ひとくち、飲んで、美味い。このひとくちを味わうためだけに生きているといっても過言ではないような気持ちになる。もやしとネギはこってり背脂と相性が抜群だ。もやしは背脂系ラーメンの具材となるべく存在しているに等しいとすら思える。背脂の甘みともやしの苦みがとてもよく合う。ここにニンニクを惜しむことなく投入する。生のニンニクの欠片を潰し機で搾るスタイルだ。入れすぎると大変なことになるので2つほど。生ニンニクのからさがこれまたスープによく合う。仕上げに黒胡椒を挽いてスパイシーさを加える。最高以外の言葉は必要ない。

 

もちろん麺も美味しいし具材も美味しい。だからこそスープも活きてくるわけだが、背脂系ラーメンはラーメンというよりスープを味わうために食べに行くというのが個人的な感覚だ。背脂を浴びるのがたまらない。野方ホープは本店以外に中野、荻窪、吉祥寺には行ったことがあるが、やはり本店が一番美味しいように思う。これは個人的な体感でしかないが、本店の背脂が一番飲みやすい。こってりだがきつすぎない。ほとんど飲み干しても苦しくならない。こんな感じは、いまのところ本店以外では味わったことがない。

 

そう。背脂系ラーメンはこれだけの脂を摂取するのだから身体にはあまりいいとは思えない。なにより私は脂っこいものが苦手なのだ。脂っこいものを食べるとすぐお腹を壊すからである。だが、苦手だからといって嫌いというわけではない。残念ながら脂っこいものは大好きだ。ただ、そんなに多く食べることはできず、食べ終わる頃には後悔すら感じている。にもかかわらずこういうものを食べに行くのは最初のひとくちの感動がほかでは決して得られないものだからである。今日食べたからもうしばらく背脂はいいだろう。また何ヶ月後か、食べたくなったときに。ごちそうさまでした。

【訪問日:2020/2/2】