懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

七月五日。

曇りて過し易き日なり。午に至りて細雨となりぬ。今週は総じて雲雨なるべしとの報、観測史上最速の梅雨明けとはこれ如何、とぞ思ふやうなる。

とらのあな直営五店舗閉店の報に接す。最近の経営状況など知らざれば、遽に落たる雷霆が如く思はれ、驚駭甚し。余の始めてとらのあなを訪れしは、十四、五年前、日本橋なるなんば店にて、幾許かの同人CDを求めんが為なりけり。Sound Horizon「Chronicle 2nd」、403「N.E.W.S」などを贖ひし記憶は昨日の事の如し。少女病「偽典セクサリス」を予算の僅少なるが故に贖ひ得ざりける痛恨の念もまた能く覚えたり。

新潮文庫吉川三国志を五巻まで読了せり。物を語るに美文を以てし、簡にして要を得たる展開の妙、エンターテインメントの極致と云ふべきかな。今巻にして漸く孔明登場す。劉備孔明に見えんとするに先んじて、徐庶の挿話を配置せるが、読者をして孔明登場の感動を深からしむる構成となりぬべし。