懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

七月十四日。

曇。時々細雨降りたり。日を過すに冷房の用なし。汗も掻かずなり。余は夏が好きなれど、暑気は好まず。然れども暑からずして夏にはあらず。この撞着せし心理を、誰か共感せざらんや。ともあれ近頃曇りたる日の多かり。日毎かくあれかしと思はるる気候なり。

ガストン・ルルー『黒衣婦人の香り』読了す。大時代的なる文体は余の大層好ましかるところなり。ルールタビーユのキャラクラーも好みなれば、いと面白く読みたりき。然れども前作に比して、推理の論理性に就きて説得力を欠くきらいあり。総体として物語の展開に乏しく冗漫にも思はるる。続編なるが故に、黄色い部屋より評価の劣るも宜なるかな

夜、天狗湯に湯を使ふ。