懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

十一月二日。

余はあと幾歳生き永らえ得るか。甚だこころもとなく思へり。今世紀半ばまで生きたる姿の聊かなりとも想像する能はず。さばれ、世を儚みて託つにあらず。稚き頃より、桜を見るにあと何回、生きて見るべきやと、数を数へて他人事に、玉の命の短さを、思ふこと多かり。五つ六つの子なりとも、百までよく数へなば、或いは人の一生の、殆ど百に満たぬを知りなば、生きて桜を何回見るや、答ふることは容易かるべし。さりとて惜しむらくは、此の考へと自らの存在の結びつかずなりぬことなり。余は現在といふ永遠を生きるものならん。過去といふとも、未来といふとも、余には備はらざらんやと思ふ。よしやよく社会に擬装して人間なれと振舞えども、固より人に生れたると思ふ意のいと稀薄なるは、変ることあらじと諦めたり。余は大人になれぬのみならず、子供にだにもならざりけん。

間話休題。

食事に就いて。日中長く食事を取らずして、夕餉に多く食べんとするは、満腹の気高まりて、後の行動に障りあるべし。幾回かに分ちて食事を為すの要あり。明日より試みてん。