少年迷路

主として美少年と推理小説についての感想を書き並べます。

坂口安吾『不連続殺人事件』(新潮文庫)読了

 

※本稿には『不連続殺人事件』のネタバレが含まれる可能性があります。注意散漫の状態では読まれないことをオススメします。

 

3回目くらいの読了、だと思われる。私の記憶に間違いがなければ。

 

初めて読んだのはたしか角川文庫版で、読書メーターの記録によると5年半ほど前の日付で読了となっている。しかし、その後、少なくとも青空文庫で1回は通しで読んだ記憶がある。青空文庫は思い出したときに、思い返したいときに、あるいはなんとなく手持ち無沙汰のときに、眠れない夜に、などなど適当な理由をつけて拾い読みしたりするものなので、複数回読んでいる計算になるかもしれない。ちなみに青空文庫に掲載されている『不連続殺人事件』はちくま文庫坂口安吾全集を底本としている。角川文庫版の底本はなんだったか……。いま手元に角川文庫版が見当たらないので確認できなかった。

 

今回の新潮文庫版は創元推理文庫「日本探偵小説全集」の「坂口安吾集」を底本としているとのこと。そして『不連続殺人事件』だけでなく、珠玉の短編「アンゴウ」も併録している。巻末には戸川安宣氏と北村薫先生の対談、これも必読である。現時点における『不連続殺人事件』はこれで読むべし、と言っても過言ではない作品となっている。

 

正直言うと、私はそこまで小説を何回も繰り返し読む方ではない。好きで好きでたまらない本でも3回以上読んだものとなると少ない。2回目を読んだものもやはり多くはない。いくつか例を挙げると、中井英夫『虚無への供物』、京極夏彦『絡新婦の理』、麻耶雄嵩『翼ある闇』、笠井潔『バイバイ、エンジェル』、横溝正史『獄門島』、ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』、モーリス・ルブラン『奇岩城』などだろうか、複数回読んだものは。坂口安吾『不連続殺人事件』はこれらに連なるものである。率直に言うと、好きで好きでたまらない作品のひとつだ。

 

『不連続殺人事件』は1947年から翌48年にかけて雑誌「日本小説」に連載され、同48年末に単行本が発売、第2回探偵作家クラブ賞(現在の推理作家協会賞)長編賞を受賞している。第2回探偵作家クラブ賞の長編部門と言えば、高木彬光『刺青殺人事件』、横溝正史『獄門島』、木々高太郎『三面鏡の恐怖』が他の候補で、これらを抑えての受賞であるからして、もういかにヤヴァイかという話である。

 

中身については、もうなにもいうことはない(爆)。読めばわかる。最高である。初読のときは、のっけから登場人物がたくさんたくさん出てきて、しかも探偵小説のお約束的に、その関係性がもつれにもつれているから、なんともわけがわからないというか、覚えているのがひと苦労というか、とっつきにくい印象だったように記憶しているけれど、改めて読んでみると、とてもよくまとまっている第1章だと思う。タイトルの通り、まさに「俗悪千万な人間関係」。本作のトリックそのものといえる"人間関係"が余すところなく描かれている。

 

推理小説というジャンルに対する批判としてたまによく見かけるやつがある。推理小説は再読に耐えない、というやつである。推理小説というものは、だれそれが犯人であるとか、どういうトリックが使われているとか、いわばそういうネタが全てであって、それがわかってしまっている状態では読むに値しないというやつである。ハッキリ言って、ナンセンスにもほどがある。ネタがわかって読む推理小説ほど面白い小説はない。もちろん、なにも知らない状態で読む1回目の感動はやはりなにものにも代えがたいものではあるが、ネタを知ってまた最初から読むと、見落としていた伏線に気づいたり、作者はどうやってトリックを仕掛けてきているのかとか、前例となるような作品の影響を受けているのだろうかとか、いやいやそうではないのだろうかとか、いろんな妄想を暴走させながら読むことができる。再読までの期間が開けば、自分も年齢を重ねて、他にもいろんなものを読んで、以前とは読み方も変わっているだろう。1粒で2度も3度も4度も美味しい。よくできた推理小説ほど読めば読むほど味が出てくる、魔法のガムみたいなものである。

 

私も初めて『不連続殺人事件』を読んだときはまだそれほどたくさん推理小説を読んではいなかった。いまもそれほどの読書量ではないけれど、あの頃よりもちょっとはいろいろ読んでから読む本作は本当にいろいろと気づくところが多く、なによりもめちゃくちゃ面白い。犯人もトリックも知っていてなんでこんなに面白いのか。

 

本作の紹介において必ず用いられる「心理の足跡」というフレーズ。まさに本作のテーマでありメイントリックであるところの心理の足跡。ここに答えがあるということは、裏表紙の紹介文を読むまでもなく、作品の冒頭においても明確に示されている。

我々文学者にとっては人間は不可解なもの、人間の心理の迷路は永遠に無限の錯雑に終るべきもので、だから文学も在りうるのだが、奴にとっての人間の心は常にハッキリ割り切られる。

坂口安吾『不連続殺人事件』新潮文庫(2018), p36

ここでいう"奴"とは巨勢博士のこと。第2章「意外な奴ばかり」において登場する本作の探偵役・巨勢博士について書かれたこの1文こそまさに重大なヒントである。そして推理小説というジャンルそのものについての作者の見解もこの1文には含まれていると考えることもできるように思われる。いわゆる、推理小説=ゲーム論というやつである。

 

その、推理小説におけるトリック。例えば、なにかしら物理的な方法を用いて密室を作ったのだとか、あえて人目につくような奇矯な行動をしてアリバイ工作をしたのだとか、いささか食傷気味なそういうトリックに終始するようなミステリが、おそらく坂口安吾は嫌だったのではないだろうか。上記の引用にもあるように、錯雑たるべき人間の心理も「ハッキリ割り切られ」ないことには犯人当てゲームとしての推理小説は成立しない。だから、なんでそんなめんどいことしたん? って思ってしまうような納得感に乏しいトリックであっても、論理的に解くことができるのなら、推理小説としては全然成立する。しかし『不連続殺人事件』においては割り切れそうもない人間心理がテーマである。論理と心理。対立しそうなふたつの概念であるが、心理にも論理がある。人間心理の理屈がある。こういった状況では人間はこういった心理状態に置かれて、こういった行動をするだろう。そういった理屈がある。人間そのものを不可解なものとして、その多様な側面を描く文学もあるだろうけれど、本作においては人間心理の論理を逆手に取って人間を描ききっている。

 

第24章で巨勢博士が帰還し、事件の真相を語り始める。以降が本作の解決編となるわけだが、改めて読んでみて、もう感涙に耐えないといったところである。本作においては横溝正史八つ墓村』ばりに人が死んでいるので、個々の事件のトリックについてもいちいち唸らされずにはいられないのだが、やはり第27章「心理の足跡」、ここの巨勢博士の語りは何回読んでも度肝を抜かれる思いがする。

 

 

※改めて注意喚起、ネタバレが嫌いな人は回れ右。サア、オイチ、二、オイチ、二。

 

 

 『不連続殺人事件』におけるメイントリック。それが例えば殺害の方法であるとか、密室の方法であるとか、アリバイ工作であるとか、ではなく、作中におけるとあるシーン、ほんのささいなエピソード、それそのものの必然性に置かれているところが、本当に素晴らしい。本当の本当に最高。初めて読んだときもやはりここで死ぬほどビックリしたのを、これはハッキリと覚えている。

 

物語というものにはある種の型式がある。こういう場面ではこういう展開をする、というようなお約束がある。王道と呼ばれるものがそうである。アニメや漫画や映画やドラマや演劇や小説や、いろんな物語に触れている人であれば、意識的か、無意識的か、スッと納得できる物語のパターンというものは体得しているはずである。やはり面白い物語というものはこの王道パターンをしっかり踏まえているものが多いように思う。『不連続殺人事件』における「心理の足跡」のトリックはこの王道パターンを逆手に取ったトリックであるようにも思う。

 

あやかさんがあの場面で味方のいない戸外へ逃げ出す。巨勢博士に説得されるとたしかに不自然な行動である。しかし、物語としては、敵に襲われて脱兎の如く逃げ出すというのは、いかにもありそうな場面である。その行動だけに着目するのであれば、物語の上ではあまり違和感のない場面とも読める。さらに深読みするならば、物語を盛り上げるために、あえて作者はあやかさんにそういった行動を取らせたのだ、と読むこともできるだろう。果たして、作者が、読者がそういった読みをすることまで想定して書いたのかどうかはわからないが、あの不自然な場面を、至極当然のように描いた作者の力量に感動せざるを得ない。

 

そしてクライマックス。これまで最悪の人格(?)として描かれてきたピカ一氏の変身である。最後2頁のピカ一の台詞はもう涙なしには読めない。これぞ名犯人。まさに本作の主役である。犯人が自殺して終わる推理小説はたくさんある。前時代的な勧善懲悪に終始するような、いささかウンザリする作品もたくさんある。

バカだったよ。死ぬ必要はなかったのだ。待合のオカミや女中ごときが現れたところで、それが何物でもないではないか。そんな証拠を吹きとばすぐらい、それぐらいの智恵をオレに信じてくれてもよかったじゃないか。

坂口安吾『不連続殺人事件』新潮文庫(2018), p358 

 どれほどの証拠であれば犯人であると確定できるのだろうか。やはり納得感に乏しい作品はたくさんある中で、このピカ一の台詞はそういった推理小説へのアンチテーゼでもあるように思う。それでもなお、彼が自殺を選ばざるを得ないのは、愛する者の後を追うという、究極の愛、その幻想、そして絶望に尽きる。こんなの、泣くしかないやん。生きてほしかったって。

 

テキトウなことを述べるのならば、あやかさんが自殺せず、ピカ一が巨勢博士の推理をひっくり返していたらどうなっていたのだろうか、そんな妄想は尽きることがない。そんな世界線も読みたい。こんな悪趣味な読者の感想を聞いたら、天国の安吾先生はどう思うだろうか?

 

不連続殺人事件 (新潮文庫)

不連続殺人事件 (新潮文庫)

 

 

第59回東京名物神田古本まつりに行ってきた。

前回の記事の続きのようなものですね。ブックフェスティバルの裏でも開催されていた古本まつり。こちらは開催期間も長くて10月末からおとといの日曜日まで約1週間やっていたもの。ブックフェスティバルに行ったときは古本まつりを見て回る(金銭的な)余裕がなかったので、改めて日曜日、古本まつりの最終日に行ってきました。

 

今回の古本まつり、なかなか天候にも恵まれて初日からずっと雨は降らなかったみたいですが、残念ながらこの日は昼過ぎからぱらぱらと雨模様。靖国通り沿いで露天でのイベント、もちろん紙の本に水は天敵。土砂降りみたいにならなかっただけよかったといったところでしょうか。

 

さて、戦利品は以下のとおり。

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いや、ほんと、欲しいものばかり見つかって嬉しい限りです。

 

偕成社のアルセーヌ・ルパン全集別巻1『女探偵ドロテ』。偕成社の全集はそもそも定価が高いものでもなく古本でも安く手に入るものが多いですが、この巻はなぜかアマゾン先生で調べると4kを超えるという高騰ぶり。こういう地味に高くなっているものはネットじゃなくてリアルで探した方がいいですね。

 

山本周五郎探偵小説全集1巻は少年探偵・春田龍介ものの選集。これもずっと欲しかったもの。少年探偵と言われたら読まずにはいられないですね。どんなものか楽しみです。

 

アイラ・レヴィン『死の接吻』。言わずと知れたオールタイム・ベスト級の傑作中の傑作。新装版が出ていたとは知らなかったです。なんか表紙が読んだやつと違う! と思って衝動買い。そのうち再読しようと思ってもいたのでちょうどよかったです。

 

山田風太郎作品ってなにげに読んだことないんですよね。面白そうなのがたくさんあってどこから手をつけようかと思っていましたが、光文社文庫の傑作選1巻が見つかったのでキミにきめた! 探偵作家クラブ賞受賞作をはじめとした本格物の選集とのことなので入門編にはちょうどよさそうです。

 

天城一の密室犯罪学教程』。タイトルからして悪趣味な探偵小説愛好家向けの香りがプンプン臭ってきますね。戦後すぐのころに雑誌「宝石」などで掲載されていた作家で、しかし単行本が長らく出ておらず、デビューから57年を経てようやく刊行された初単行本とのこと。まさに幻の探偵小説作家。こちらも楽しみ。

 

『スコッチウイスキーの歴史』。これだけ小説じゃなくて研究書です。ふと目について、めちゃくちゃ安かったので(アマゾン価格の2割くらい)衝動買い。おそらく、日本語で読めるスコッチウイスキーの本の中では最も内容が濃いものだと思われます。蒸留所の一覧や年別の製造量などの資料が半端じゃなく豊富です。読むのは大変そうだけど。

第28回神保町ブックフェスティバルに行ってきた。

といっても、もう先週末の話なのでとてもいまさらな感じですが、とりあえず軽くまとめます。

 

読書の秋に、本の街・神保町で開催される、年に一度のお祭り。公式サイトによると「在庫点数300万点 在庫冊数1000万冊 売場面積5000坪」とのこと。大手から中小まで多種多様な出版社が集まる本のアウトレットセール。本好きにはたまらないイベントです。お金がいくらあっても足りない。

 

さて、戦利品は以下の7点。 

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いずれも前々から気になっていたものばかり。もちろん他にも欲しい本はたくさんありましたが予算の関係でこれだけに厳選しました。とはいえ、じっくり見て回って熟考を重ねた結果ではなく、アタマへピンときたものをさらっていった感じです。迷ってたら他の人に取られちゃいますからね。

 

アーネスト・ブラマ『マックス・カラドスの事件簿』やロバート・バー『ウジェーヌ・ヴァルモンの勝利』はシャーロック・ホームズ世代の短編ミステリ。最近新装版が出ている世界推理短編傑作集にも作品が収録されていて、それぞれの短編集が欲しくなったところだったので迷うことなく飛びつきました。

 

ミステリ珍本全集も全巻出品されていて、お財布に余裕があれば持ってないのを全部揃えたかったけれど、今回は1冊だけ。次に読むならこれと狙っていた『十二人の抹殺者』。タイトルだけでご飯3杯いけそうですね。とても楽しみ。

創元推理文庫『世界推理短編傑作集2』読了

江戸川乱歩が編纂した偉大なるアンソロジーの改題新版、その第2巻。

旧版からの変更点は以下のようなもの。

・旧版2巻に収録されていた以下の2作品が新版では抜けている。ベントリー「好打」は新版では5巻に収録の予定で、コール夫妻「窓のふくろう」は新版では3巻に収録の予定とのこと。

・旧版では1巻に収録されていたバー「放心家組合」が2巻の最初に収録されている。

・旧版にはいずれの巻にも収録されていなかったチェスタトン「奇妙な足音」が追加されている。

・グロラー「奇妙な跡」が原語からの新訳に変わっている。

・フリーマン「オスカー・ブロズキー事件」が創元推理文庫『ソーンダイク博士の事件簿』に収録されているものと同じ訳へと変更された。

 

さて、感想をいくつか。

 

バー「放心家組合」は旧版1巻で読んでいたはずだったが、びっくりするくらい覚えていなかった。そのおかげでとても新鮮な頭で再読できてよかったかもしれない。オチに伴う奇妙な余韻は、まさに作中のラストで探偵役ユウゼーヌ・ヴァルモンが感じたものと同じだろう。呆気にとられるというか、唖然ボーゼンというか、読者の方まで"放心"してしまう仕掛けは素晴らしい。

 

ルブラン「赤い絹の肩かけ」はご存知世紀の大怪盗アルセーヌ・ルパン登場作品。本作においてはルパンはある種の探偵役を果たす。宿敵ガニマール警部への助言者として。もちろんこの2人が共闘するわけではなく、ルパンは事件の鍵だけ残してガニマールを煙に巻く。その手並みの良さには舌を巻かざるを得ない。事件の真相が冒頭で明らかにされるという趣向は倒叙ものと同じ発想だが、本作では最後までガニマールを手玉に取るルパンの行動にも様々なトリックが散りばめられていて読み応え抜群である。余談だが、改めて読んでみて、日影丈吉のハイカラ右京探偵譚はルパンものにも影響を受けているのではないかと思った。

 

グロラー「奇妙な跡」。本巻では最も短い10頁ちょっとの作品。しかし印象はなかなか強烈だ。解説でも指摘されている通り、ディクスン・カーのあの作品を思い出すトリックが使われている。もちろんこちらが先例である。

 

ポースト「ズームドルフ事件」。個人的に本巻ではこれが一番好きだった。アメリカの開拓時代を思わせる舞台、序盤の文章は少し硬いが舞台背景を生き生きと伝えてくれる。完全な密室での殺人事件。そしていかにも犯人らしい怪しげな人物たちが自白していき、最後には全てをひっくり返す真相が待っている。宗教色の強い部分は読み手によって好みがわかれるかもしれないが、私としてはとてもいい雰囲気を出しているように思えて好きだった。

美少年にしか目がいかない人のための秋アニメ2018その2

ソードアート・オンライン アリシゼーション

説明不要のラノベ原作アニメ、SAOシリーズの第3期。原作では第4部にあたるアリシゼーション編。本作では絶対美少年キリトさんの他にもうひとり主人公格の美少年ユージオが登場。そうそう、これこれ、こういうのを待ってました!!! 美少年同士の友情の物語。めちゃくちゃ熱そうですね。


TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」第2弾PV

 

SSSS.GRIDMAN

なんとも読みづらいタイトルですがグリッドマンでいいみたいですね。原作は円谷プロの特撮ドラマ。つまりロボットアニメといってもヒーローものの傾向が強そうです。そして主人公・響裕太くんがめちゃくちゃ美少年。ぴょこんと跳ねた前髪が超絶かわいい。裕太くんのクラスメイトで協力者である内海将くんはクールメガネなイケメン。意外と情熱的そう。おかっぱ頭の謎の少年というやつもいる。とても楽しみです。


10.6(土)~スタート!新番組『SSSS.GRIDMAN』放送直前PV!

 

ラディアン

原作はフランスの漫画作品。王道ファンタジー。謎の怪物ネメシスに対抗できる唯一の存在である魔法使い。しかしこの世界における魔法使いはヒーローなんかじゃなく、ネメシス同様に強大な力を持つ者として忌み嫌われている。魔法使い見習いの少年セトが本作の主人公。一人前の魔法使いになる夢と厄介者扱いされる魔法使いの立場を変えたいという野望。それを果たすにはネメシスを完全に退治するしかない。かくして冒険の旅がはじまる。といったあらすじ。現代でも社会問題となる重要なテーマを孕みつつも、作風は結構コミカルで面白いです。元気の塊みたいなセトくんがとてもかわいい。見た目のわりにちょっと声が幼いように思えるけれどそれもまたいい。


アニメ「ラディアン」プロモーションムービー フルバージョン

美少年にしか目がいかない人のための秋アニメ2018

秋が始まって2週間、今季はなにを視ようかだいたい固まってくる頃ですね。僕はといえばdアニメストアでのアニメ視聴勢なのでそろそろ各作品の配信が始まってくる頃です。今季はなにを視ようか。自分のための備忘録として。

 

アイドルマスターSideM 理由あってMini!

まさかのミニちゃんアニメ化。315だったアニメ版SideMの放送から1年、そろそろ2クール目の季節かと思いきや。どんな理由あってMiniなのかは知らないけれど、なにもないよりはもちろん嬉しい。内容的には5分くらいのショートアニメっぽいですね。とりあえずこれを視つつ、本編2クール目を待ちますか。


TVアニメ「アイドルマスター SideM 理由あってMini!」アニメ化決定PV

 

火ノ丸相撲

第1話、視ました。今季の覇権、間違いなし。本当によくまとまった第1話でした。これぞまさにジャンプ漫画の王道って感じ。圧倒的に強い主人公を絶対に越えられない壁に向かわせる。夢とロマンの塊ですね。そして筋肉。圧倒的、マッスル。ショタマッチョ好きにはたまらないですね。潮くんが最高にかわいい。広島弁っぽい喋り方もとてもいい。


アニメ「火ノ丸相撲」PV

 

おとなの防具屋さん

こちらもショートアニメ。どこか懐かしいRPG的ファンタジーな世界が舞台。しかし主人公たちは冒険者ではなく防具屋さん。町人たちのほのぼの日常ものといったところ。タイトルにある「おとなの」という形容詞は文字通り隠語的な意味のほう。主人公の青年・カウツくんがめちゃくちゃかわいいです。これはカウツくん総受けと見せかけて攻めに回るタイプ。


アニメ『おとなの防具屋さん』トレーラーA / GANMA!公式

 

狐狸之声

ぱっと見た感じ東洋ファンタジー的なやつかと思ったらものすごく現代的なやつだった。しかもアイドルもの。原作は中国の漫画作品とのこと。主人公・フーリはネットで活躍する覆面シンガーソングライター。もうひとりの主人公・コンチュエは顔はいいが歌はダメダメな新人アイドル。このふたりの関係性はまさに現代のシラノ・ド・ベルジュラック。コンチュエが表舞台に立って、フーリはゴーストシンガー、ふたりで芸能界の頂点を目指すというあらすじ。なにげにいろんな闇を抱えてそうなフーリくんがとてもかわいい。


『狐狸之声』PV【2018年10月放送開始】

 

ツルネ―風舞高校弓道部―

青春、弓道、美少年。制作は安定の京都アニメーション。個人的に今季一番の期待作。一度きりの青春、かけがえのない仲間との日々。PVを視ただけでもその煌めきが存分に伝わってきますね。既に泣きそう。


TVアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』PV第4弾

 

太田忠司『月光亭事件』読了

私がこれまでに読んだことのある太田忠司先生の作品は『僕の殺人』ひとつきりだった。たった1作読んだだけでこういうことを言うのはちょっと気が引けるのだが、この1作だけで私は太田忠司先生の描く世界に全く魅了されてしまった。つまるところ、いわゆるひとつのファンになったというわけだ。しかしそこから先、すなわち今に至るまでが長かった。これは私の悪い癖だ。この作家の作品は間違いなく好きだ。大好きだ。という確信を持ってしまったら、他の作品を買うだけ買って、手元に置いて、そして読まなくなってしまうのである。積読というやつである。間違いなく好きだから、読んでしまうのがなんとなくもったいないような気がするのである。あるいは物語に取り組む前から、物語の終わりに直面するのが怖くなってしまうのかもしれない。まことに難儀な心理状態だ。しかし今回またひとつその壁をぶち破って、ようやく積読を崩すことに成功した。少年探偵・狩野俊介の活躍を描くシリーズの第1作『月光亭事件』を読了した。

月光亭事件 (創元推理文庫)

月光亭事件 (創元推理文庫)

 

 今回読了したのは創元推理文庫版である。こちらの方が新しい版で、もともとは徳間書店から単行本が出て、いくつかは徳間文庫に入っている模様。徳間文庫版の方はいかにも90年代といったアニメ風の表紙絵で、そちらも味わい深いものがある。創元推理文庫版は"文学少女"シリーズなどで知られる竹岡美穂先生によるイラストが表紙を飾っている。

 

引退した名探偵・石神法全、彼の弟子であり事務所を受け継いだ私立探偵・野上英太郎のもとをひとりの少年といっぴきの猫が訪れる。石神法全の友人だという少年はまだ12歳。探偵の卵である主人公・狩野俊介くん。そして愛猫のジャンヌ。

 

「少し皺の寄った黒のスーツに黒の短靴、そして黒いハンチング帽」といった装いで登場した礼儀正しい男の子。「元気で張りのある声」に「大きな瞳が表情豊かに輝いている」。間違いない、美少年だ。12歳の少年が大人のようなスーツを着ているというギャップ、最高に萌えますね。表紙イラストはこの描写に依ったものでしょう。探偵の卵とはいえ既に貫禄のようなものを感じる。

 

もちろん狩野俊介くんは見かけ倒しではない。探偵小説でのお約束、初対面での名推理をバッチリ決めて野上さんや読者を驚かせてくれる。そんな推理力抜群の俊介くんだが、まだまだ12歳の子供である。性格的な弱さや両親がいないという困難などいろんな問題を抱えていて、彼の成長がこのシリーズの読みどころであるのは間違いないところ。それは月光亭事件における重要なテーマとも密接に関わってくる。

 

ネタバレにならない程度に感想を。まず、推理小説といえばやはり登場人物の一覧表である。本文に入る前に地味に時間を使うアレである。ここから既に仕掛けは始まっている。悪趣味な探偵小説愛好家であれば、いやそうでなくとも、名前の関連性に気づくはず。ひとり足りない――と。そしてその空席の候補となる人物がふたりいる。いや、最初はどうしてもひとりに注目してしまう。3人まで女子ならもうひとりも、という先入観である。その仕掛けに気づいたなら、空席を埋めるのはあいつだと判る。いやでもそれを逆手に取って、と妄想が暴走するのである。これだからミステリはやめられない。途中まで私もこの名前の問題については翻弄された。

 

読者がどういった読み方をするかということを逆手に取った設定上のミスリードや、大掛かりな密室トリックに隠された小さなトリック。本作における仕掛けはまさに推理小説のお手本と言えるものだと思う。とてもいい意味でわかりやすい。もちろんそれは答えがすぐ判ってしまうという意味ではない。とても巧妙に隠されているけれど蓋を開ければ呆気ない、しかし納得感がある。よくできた推理小説というのはこういうものだと私は思う。

 

『僕の殺人』でもそうだったが、太田忠司先生の描く少年が私はとても好きだ。どこか大人びていてしかし少年らしさも併せ持つ。未完成で不完全に揺れる、しかしそれは何物にも代えがたい一瞬で永遠の煌めき。それは青春と呼ばれるものだと私は思う。

 

青春は少年だけのものではない。狩野俊介シリーズは、俊介くんの父親のような役割を果たす野上探偵の青春の物語でもあるようだ。彼を取り巻く物語もとても気になるところである。

 

太田忠司先生の作品は、宿少シリーズや甘栗シリーズ、もちろん殺人三部作も、気になるのがたくさんあってたくさん積読しているので頑張って読み進めていきたい。狩野俊介シリーズもなるべく早く続きを読みたい。そして後期作品も創元推理文庫から出ないかな?