懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

2020-01-01から1年間の記事一覧

【読了】ロナルド・A・ノックス『陸橋殺人事件』創元推理文庫

ついにこの作品と向き合うことになってしまったと、本書を手に取っただけでとても感慨深い思いを抱いたものだった。本書の作者ロナルド・A・ノックスといえば「ノックスの十戒」を書いた人物としてそれなりに広く知られていると思う。同様の探偵小説の掟のよ…

【ラーメン】成蹊前ラーメン / 吉祥寺

吉祥寺駅の北側を走る五日市街道を三鷹方面へ歩くこと、どれくらいだろうか。たぶん15分か20分くらい。駅からは決して近くはない。成蹊大学の門のすぐ脇にカウンターだけの小さなお店がある。お店の前の歩道は狭く、そうでなくとも駐輪場がないため、チャリ…

【読了】伊井圭『啄木鳥探偵處』創元推理文庫

2020年春、つまり来月から始まるテレビアニメ「啄木鳥探偵處」の、本書は原作である。歌人・石川啄木と言語学者・金田一京助のコンビが活躍する本格ミステリーの連作短編だ。第1話目の「高塔奇譚」は1996年の第3回草原推理短編賞受賞作で単行本の刊行は1999…

【読了】仁木悦子『私の大好きな探偵』ポプラ文庫ピュアフル

推理小説の過去の名作を知りたいとき、手っ取り早いのは長く続いている賞の受賞作・候補作一覧を参照することだろう。江戸川乱歩賞もその歴史は長く、第3回からは公募した長編小説から選ばれるようになり、推理小説ジャンルの新人賞的な位置づけとなっている…

【読了】ドロシー・L・セイヤーズ『大忙しの蜜月旅行』創元推理文庫

古典黄金時代を代表する女流作家、ドロシー・L・セイヤーズによるピーター・ウィムジイ卿ものの第11長編であるBusman's Honeymoonの翻訳がようやく創元推理文庫から刊行された。ようやく。まさしく、ようやく! ピーター卿が活躍する一連の長編作品は1993年…

【つけ麺】二代目えん寺 / 中野

雨の月曜日だからつけ麺が食べたくなって。 中野駅北口を出てすぐ右手の狭い路地を入ったところ、ビルの角にL字型のやはり狭い店舗がある。1階はカウンターのみで、厨房は2階にあるという特徴的なお店だ。ベジポタつけ麺が売りのえん寺は吉祥寺に総本店を名…

【ウイスキー】MACHRIE MOOR 2017 / Isle of Arran Distillery

Scotland / Isle of Arran Distillery Single Malt Scotch Whisky "MACHRIE MOOR" 8th Edition Released 2017 Non-Chill Filtered / Natural Colour / 46% ABV 色:透き通った薄い金色。 香り:グラスへ注ぐとき、蜂蜜のような甘い匂いが感じられた。パイナ…

【ラーメン】ラーメン二郎 川越店 / 川越

これほどまでにわかりやすい二郎がかつてあっただろうか。川越店である。 3連休だからどこかへ行きたくなった。それなら二郎のひとつでも開拓しようというもの。まだ行けていないのはあとはほとんど地方だった。新潟、会津若松……いや日帰りという距離ではな…

【ラーメン】五丁目ハウス / 中野

五丁目ハウスは、中野のラーメン屋密集地帯、サンモール商店街の東側の細い路地にある家系ラーメン店だ。一見するに家系とは思えない(いやそもそもラーメン屋とも思えない)屋号のお店だが、家すなわちhouse、なるほど五丁目家に通じるというわけだろう。な…

【ビール】Harviestoun Brewery / Old Engine Oil

スコットランド / ハービストン醸造所 ポーター / ABV:6% / IBU:40 香り:ダークチェリー、チョコレート、コーヒーのような濃厚な香り。かすかにバニラのような甘い匂いもある。 味:少しトロっとした舌触り。焦げのような苦味、ロースト感がかなり強い。…

【読了】島田一男『古墳殺人事件』徳間文庫

昔の探偵小説が大好きなもので青空文庫にはよくお世話になっている。短編長編問わず作品ごとに手軽に気分次第で読むことができるので、なんとなく気になったタイトルから思わぬ出会いもままあったりする。小説作品はもちろんだが、青空文庫には探偵小説に関…

【読了】鮎川哲也編『硝子の家 本格推理マガジン』光文社文庫

島久平「硝子の家」という作品のことを初めて目にしたのは確か二階堂黎人先生の二階堂蘭子シリーズのなかでだったような気がする。同シリーズでは過去の有名無名推理小説が数多く引用され、ある種の参考書のような様相を呈するものまであるが、「硝子の家」…

【ビール】Full Sail Brewing / Session EZ IPA

アメリカ・オレゴン州にあるフルセイル醸造所のセッションIPA。 4.8% ABV / 35 IBU 香り:ホップの爽やかな香りがまず感じられる。レモンやグレープフルーツのような柑橘類の香りを中心に、青草のような香りもある。モルトの香りも少し。 味:やはりホップの…

【ラーメン】つなぎ / 恵比寿

もうしばらく背脂はいいだろうと先週書いたな。あれは嘘だ。 というネタはさておき、Readyyy!の2周年ライブのために恵比寿へ行ったので、帰りがけにはやはりラーメン屋さんを探したわけだ。あの辺りもラーメンには事欠かない場所だが、濃厚背脂拉麺とかいう…

【ライブレポ】18人のアイドルが存在するということ【Readyyy! 2nd anniversary LIVE "THE NEW MOMENT"】

男性アイドル育成ゲームアプリ『Readyyy!』の配信が終了してから約7ヶ月あまり。リリースされたのは昨年の2月1日だからちょうど1年前ということになる。実質的に稼働していたのは4ヶ月ほどという短命に終わった作品だったが、コンテンツそのものの歴史はアプ…

【読了】沼正三『禁じられた青春(上)』幻冬舎アウトロー文庫

『家畜人ヤプー』の著者である沼正三とは誰であるか――。覆面作家・沼正三の正体については諸説あるようで、Wikipediaのページにも議論のあることが書かれている。現在この説がどういう扱いになっているのかはこれ以上調べていないのでわからないが、沼正三の…

【ラーメン】野方ホープ 本店 / 野方

年に一度はここの脂が無性に食べたくなるという類のお店がある。津田沼「なりたけ」、五反田「平太周」、浅草「弁慶」。京都に「セアブラノ神」とかいうそのまんまな名前のお店もあったっけ。ここにいまはなき千葉市松波の「森田や」も加えたいところ。背脂…

【ラーメン】上海麺館 / 中野

中野駅北口のすぐ目の前におやき「れふ亭」と田舎そば「かさい」といういずれもその道では屈指の名店がある。中野駅前といえばこの並びという風景の右側、不動産屋があるビルとの狭間が薄暗い路地となっていて、吉祥寺のハモニカ横丁を思わせる小さな飲み屋…

【ラーメン】らーめん玄 / 下北沢

週末になるとラーメンを食べなければという使命感めいたものが芽生えてくる。何故だかはわからないが、週末という言葉の響きが終末に通じるからかもしれない。最後の晩餐ならばやはりラーメンがいい。そんな与太話はさておき、どこかへ出かけたならついでに…

【ラーメン】中華そば青葉 中野本店 / 中野

中野駅の北口改札を抜けるとどこか懐かしさすら感じる商店街が続いているのが見える。サンモール商店街の突き当たりには中野ブロードウェイがある。その東側一帯には小さな飲食店が所狭しと立ち並んでいる。昼時には周辺に勤めるサラリーマンが大挙して押し…

【読了】霧舎巧『マリオネット園』講談社文庫

第12回メフィスト賞受賞作『ドッペルゲンガー宮』にはじまる《あかずの扉》研究会シリーズの第4長編にして現時点で刊行されている最新作が本書『マリオネット園』だ。最新作とはいってもノベルス版の刊行は2001年だからおよそ20年前の作品ということになる。…

【読了】ドロシー・L・セイヤーズ『死体をどうぞ』創元推理文庫

本書は1932年に発表されたピーター・ウィムジィ卿シリーズの第7長編である。シリーズ中では『学寮祭の夜』に次ぐボリュームを誇る大長編で、セイヤーズの作風と推理小説の神髄を存分に味わうことができる傑作だ。 死体をどうぞ (創元推理文庫) 作者:ドロシー…

【ラーメン】ラーメン二郎 品川店 / 品川

今年の初〇〇という表現はいつごろまで許されるものだろうか、とそろそろ考えはじめる時期だ。許されるったって誰に許されるのかもわからない。ただ1月も終わりに近づけば、初だのなんだのという気も失せてくるから、いえるうちにいっておかねばならない。20…

【読了】眉村卓『なぞの転校生』講談社文庫

本作はライトノベルという用語が定着する以前、青少年向けの文芸作品を指すジャンルとしてジュブナイルという用語が使われだした頃の代表的な作品である、というのが私の理解だ。ジュブナイルの歴史については詳しくないのでこれ以上なにもいえない。1965年…

【読了】竹本健治『狂い壁 狂い窓』講談社文庫

本年のミステリ始めは竹本健治先生『狂い壁 狂い窓』。1983年に発表された本作はタイトルにもその雰囲気が滲み出しているように、ホラーミステリーともいうべきどこか妖しくも懐かしき幻想世界を満喫できる作品である。 狂い壁 狂い窓 (講談社文庫) 作者:竹…

【読了】津原泰水『11 eleven』河出文庫

私の読書範囲の大半は長編推理小説が占めているが、他にも読みたいジャンル、作家は山積みである。そんな積読の山の上の方にあったのでようやく手にとった。津原泰水先生の作品を読むのは初めてだった。 11 eleven (河出文庫) 作者:津原 泰水 出版社/メーカ…

【ラーメン】ラーメン荘 これが好きだから / 阪神国道

せっかく関西に滞在中なのだから行っておかねばなるまいとかねてより思っていたお店を訪れた。本年の初二郎系、ラーメン荘これが好きだから。 この日はちょうどえべっさんのはじまる日。1月9日は宵戎。来る途中に西宮神社へ寄って奉納マグロを拝む。阪神西宮…

【読了】ハワード・グッドール『音楽の進化史』河出書房新社

音楽の進化史 作者:ハワード グッドール 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2014/05/14 メディア: 単行本 イギリス出身の作曲家、ハワード・グッドール氏による本書『音楽の進化史』は、西洋音楽、いわゆるクラシック音楽を中心とした音楽の歴史を、先…

【読了】笠井潔『熾天使の夏』創元推理文庫

笠井潔先生のライフワーク「矢吹駆シリーズ」の第ゼロ作と位置づけられる本書。これまでのシリーズのなかではあまり明かされてこなかった矢吹駆の来歴や内面世界が本書によってある程度明らかになる。『バイバイ、エンジェル』に始まるシリーズにおいては、…

【初詣】服部天神宮・中山寺・売布神社・清荒神清澄寺

前回のあらすじ。阪急「ぐるっと初詣パス」を手に入れた僕はいまだ訪れたことのない駅で降りるためだけの旅をはじめた。しかし沿線全駅下車に挑戦するには時間もなければ体力もない。お昼頃から予定通り初詣めぐりをすることに。 1. 服部天神宮 阪急宝塚本線…