懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

七月八日。

晴。夏めく空の青きに、眩しきに、覚えず眼を伏せぬ。心地良き風の吹きたり。洗濯日和なり。

正午、安倍元総理の演説中に凶弾に倒るとの報道あり。まさに青天の霹靂、遽には信じ難く思はれぬ。かくまで重大な政治的意義のあるべき国内事件を目の当たりするは、余にとりても殆ど始めてのことなるべし。首相経験者の暗殺の如きは、遠い過去の出来事にして、今更起るべくもあらずと思ひぬ。ただ国外を打眺むれば、ウクライナ戦争が如き例もありつべし、何ぞこの国ばかりが例外ならんや。言論を封殺するに暴力を以てするの蛮行は許すまじきことなり。余は安倍氏の支持者にはあらず。ましてや自民党をや。故にこそ、民主政体を信奉する者の矜持を以て、激しき憤りを覚えにけり。ここに哀悼の意を申し侍る。

戦後社会は了りぬ、平和は遠くなりにけり、といよいよ胸安からぬ心地す。余が不安の杞憂なることを願ふばかりなり。