懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

八月十二日。

曇。蒸し風呂に入りたるが如き日なり。颱風の近づきたれば、駐輪せるチャリを薙倒さんばかりに風強し。深更より明日一杯は雨なりといふ。久方振りの颱風コミケならんや。ただ参戦者の平穏無事なる帰還を祈る。

夜、バスに乗りて大泉学園へ至り、東映撮影所の近隣なる映画館に独り劇場版ゆるキャンを観る。原作とは独立したる内容なりとて、観るべき歟、観ざるべき歟、迷いたりしが、迷ふほどなれば観るべしと心得て重い腰を挙げぬ。その内容は、終始ゆるキャンの作風を丁寧になぞりたるストーリーにして、恰も総集編を視せらるるが如き感あり。社会人設定にて新なる物語を描くには、あまりにも我らが知りたるゆるキャンと異ならず、わざわざ社会人設定を用ひるの要ありやと、逆説的なる感想を懐きぬ。蓋し、社会人設定なりとも、固より求められたるは変わらざるゆるキャンなれば、今回の劇場版の如きは成功せるものと思ふ。然れども、余の願望を謂ば、新しきゆるキャンの形をや観まほしける。残念なる点はあれど、充分に愉しかりけり。