懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

八月二十一日。

日付の移りたる頃より、夜歩く。週末なれば随所に酔歩散漫たる人の群あり。スーツを着崩したる中年男性のベンチに寝そべりて高鼾掻きたり。黒衣の媼の大荷物持ちたるが店先灯下に座りて新聞紙を拡げ読みたり。色々なる人これあり。

歩くうち楼村に至りぬ。タイバニとコラボしたるアルコール飲料の半額にして在庫大量あり。なかなか半額なりぬは見る能はざれば、不憫がりてこれらを購ふ。緑と赤の二種類なり。緑はメロンダイキリと称せしが、味は殆ど夏季氷のシロップと異ならず。原材料名を見るにウォッカとありて、ラムにはあらず。これをダイキリと名乗りたるは、設定上の都合ならんや。甚だ不可解なり。赤はストロベリーロワイヤルと謂ひて、これもまた不可解なるウォッカベースの飲料なり。風味に苺らしき酸味仄かにあり。冬場のショートケーキの上なる酸つぱい苺の味に似たり。両方倶に酒精の入りたるソフトドリンクといふに過言ならず。絵柄に反して大人の酒とはいふまじき代物なり。誠に理由の如何なるものかは知らねど、売れ残りたるも宜なるかなと思はるる。

飲みて夜を更かし暁頃寝る。起きて午を過ぎたり。

「新色懺悔」音読す。『伽羅枕』の内容を殆ど忘れたりければ、始めより読み直す。