懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

八月三十一日。

曇。湿気の多かる日なり。終日除湿機を動す。

本日にてとらのあな秋葉原店閉店との由を聞て、午過ぎに訪ふ。狭きビルの階梯を、薄き本を求めて上り下りするも、これにて最後ならんとこそ思へばなんとも寂しけれ。余の知りたる秋葉原といふ街も、はや彼方になりつあり。もはやそこに紙風船なければ、メディオもなし、トライアミューズメントタワーも去り、キッチンジローも消え、かんだ食堂も閉じにけり。この上とらのあなまでなくなりたる歟。世相の変転。十年一日の感。とらのあななき秋葉原を、余は未だ嘗て知らず。後来、懐郷の念、何処にか往かん。