懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

十月十三日。

曇りて屢々氷雨降りたり。寒く薄暗き日なり。されど出ると帰るの折には雨に遭はず。雨男なる余にとりて、豈珍しきことならざるや。

近頃病怠りつつあるも、身体の震え頻りなりて、臥したるときも休まらず。又心の慄え平癒に遠かり。纔かなりとも睡眠を日毎続けなば、心身の調子、正に復すこともあらん。十稔あまりの光陰をかけて、自らを破壊せしめし代償を、払ふにはまた十稔か、それにも倍したる時をも要すべき。責めてあと十稔ばかりは後れを戻すべく生きたし。余が如き人間には、よしや百稔生きたとて、普通の人の十稔に不如。さはさで良し、自らの時の流れに生きるのみ。