懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

【読了】梓崎優『叫びと祈り』創元推理文庫

最近は古い推理小説を読むことが多かったのですがちょっとひさしぶりに現代ミステリを。梓崎優先生のデビュー作『叫びと祈り』読了しました。 

叫びと祈り (創元推理文庫)

叫びと祈り (創元推理文庫)

 

本書は、2008年の第5回ミステリーズ!新人賞を受賞した「砂漠を走る船の道」に始まる連作短編集です。サハラ砂漠を征く商隊、スペインの巨大な風車、雪に閉ざされた修道院、伝染病の蔓延する密林などなど、現代日本の日常とはかけ離れた世界、それはまさに異世界と呼ぶべき、我々のよく知る常識や価値観の通用しない世界を舞台に、主人公である青年・斉木がミステリ趣味あふれる怪事件に巻き込まれるといった趣向の物語です。

 

本書には5つの短編が収録されていますが、最も本格ミステリ的なトリックが効いてる作品はやはり巻頭の「砂漠を走る船の道」でしょう。本当にすごかった。きれいに騙されました。砂の海のど真ん中で発生する殺人事件。極限環境というある種の密室における殺人、これだけでも非常にミステリ的においしい設定ですが、そちらばかりに気を取られていると思わぬところからこの作品のメイントリックともいうべきパンチが飛んできてKOされます。これはすごい。そのトリックに気づいた瞬間、本作のもつテーマが一気に花開く仕掛けになっています。トリックをこう使うのかとただただ呆然とするばかり。凶器に関する謎も殺人の動機も、それだけでも充分ミステリとしてよくできているのに、そのうえさらにもうひとつ……。感動しました。

 

「砂漠を走る船の道」のトリックが語るテーマ。それは視点を変えて世界を見るということ。常識や偏見や先入観を捨て去って、自分とは成り立ちを全く異にする世界の理について考えるということ。いずれの作品も自分の世界に閉じこもっているだけでは絶対に答えが見えてこないような仕掛けになっています。ミステリ的には犯人探しというよりは動機探しの方にウェイトが置かれているように思えます。奇妙な動機という探偵趣味を文化の違いという現実的な問題に絡めて描いているあたり、グローバル化によって発生するさまざまな社会問題を反映しているようにも思えます。小説は現実を映す鏡であるとはよく言ったものですが、ストーリー、トリック、テーマ、それらの使い方、合わせ方が本当にうまいなぁと。

 

また本書はただ登場人物が共通しているというだけの連作短編ではありません。物語のための物語であり、現実のための物語であり、誰かのための物語である。最後に置かれた「祈り」で、これまでの物語の存在意義がまた違った余韻を伴って再浮上してくる仕掛けになっています。物語とは語りである。本になった小説はだいたい自分ひとりで読むものですが、本書を読み終わると、まるで誰かが語って聞かせてくれたような読後感を味わうことができます。この感覚はなんなんでしょうね。シリーズものの推理小説でたまによく見るあのトリックに出会ったときの感じですね。本当に素敵な物語でした。同じ世界観でまだまだ続きが読みたいです。

美少年にしか目がいかない人のための冬アニメ2019

あっという間に冬アニメが始まる季節。まだ昨季のアニメも視終わっていないのに。でも確認だけはしなければ。今季はどんな美少年が出てくるのだろうか。

 

超次元革命アニメ Dimensionハイスクール

dimension-hs.com

ぱっと目についたキーヴィジュアルからしてもうなんじゃこりゃああああって感じ。アニメなの? ドラマなの? どうやら次元を超えるアニメらしい。そのまんまですが実際PVを視てもそのまんまだった。わかりやすいと言えばわかりやすい。


2019年1月放送開始!超次元革命アニメ『Dimensionハイスクール』PV

アニメの方はどうやら3Dなのかな? モーションキャプチャシステムを使ってキャストが動きも担当しているらしい。最近は2.5次元というコンテンツも定着しきたし、とても現代的なアニメ作品のようですね。内容はかなりギャグよりっぽい。アニメパートのキャラデザは刀剣乱舞鶴丸などを担当されているIzumi先生。美少年の活躍に期待できそうです。

 

W'z 《ウィズ》


TVアニメ「W’z《ウィズ》」プロモーション映像(2018.10.19 Ver.)

ご存知「K」シリーズ制作のGoHandsによる新作アニメ。ああどこを見てもイケメンだらけだ。いいぞいいぞ。主人公はDJが趣味で生配信もやってる中学3年生。うん、とても現代的。PVを視るとアクションシーンもあって、世界と世界の衝突がひとつのテーマみたいですね。

 

グリムノーツ The Animation


2019年1月新番「グリムノーツ The Animation」第1弾PV

原作はスクウェア・エニックスが配信するスマホゲームのRPG。「運命の書」によって生き方が決まる世界で、白紙の運命を与えられた少年少女の物語。なるほど、人間が生きるということは、時代、場所、環境、経済、社会などなど、あらゆる外部的な要素に規定されるものだがそれだけではない自分に固有の生き方をすることもできる、ということを童話をモチーフにして描いた世界観のようですね。そんなことより主人公のエクスくんがめちゃくちゃかわいいです。めっさ好みです。これは視聴確定か。

 

明治東亰恋伽


TVアニメ「明治東亰恋伽」PV第2弾/TV Animation "MEIJI TOKYO RENKA"(2019)

めいこいアニメ化したんだ。明治時代を舞台にした乙女ゲーが原作。かなり気になってはいたけれどPSPを持ってないので原作は未プレイ。なのでアニメ版はとても楽しみです。見た目だと泉鏡花がかなり好み。

【読了】ドロシー・L・セイヤーズ『ナイン・テイラーズ』創元推理文庫

あらためまして、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

さて皆さん、新年初読みはいかがだったでしょうか? 私が2019年の1冊目に選んだのはセイヤーズの不朽の大傑作『ナイン・テイラーズ』でした。はじめて読んだのは5年ほど前のこと。響き渡る鐘の音、大地を洗い流す水、最後の最後で明らかになる大トリック。なにもかもが衝撃的で、人生で最も好きな本のひとつになりました。それはいまも変わっていません。

 

今回、ただただなんとなくで再読しましたが、思えばこの時期に読むのにぴったりな本でした。大晦日の夜、雪深い寒村フェンチャーチ・セント・ポールで立ち往生したウィムジイ卿がその村の教会に古くからある鐘に出会うところから物語が始まります。第1章は80ページほどかけて事件の舞台となる村と登場人物の関係、そしてこの物語の主役である鐘について丁寧に語られます。この冒頭の部分から結末を暗示するような文章がでてきて、再読してみてあらためてよくできているなあと思った次第です。この大晦日の夜の闇の中で起きていた事態を思うと戦慄を禁じえません。

 

この物語にはとにかく登場人物がたくさんできてきます。そして鐘についてのウンチクもたくさん。鳴鐘術については初めて見るような日本語の概念がどんどん出てくるので少しとっつきにくいところがあるかもしれませんが、決して読みにくいわけではないと思います。セイヤーズストーリーテリングの巧さと、魅力的な登場人物のかけあいが、読み進める手をつかんで離さないかのようです。浅羽先生の訳もとても読みやすいです。

 

再読してみてまず思ったのは、最初はとても複雑に思えた事件も、実は非常にシンプルなものだったということです。単純にして明快。しかしこの事件を殺人事件として見ていくとどうしてもこんがらがってしまう。なにかトリックがあるに違いないと複雑に考えれば考えるほど真相は遠ざかる。本当に見事なプロットだと思います。第2章の最後でそもそもの間違いに気づくシーンは推理小説につきもののカタストロフを感じさせてくれます。

 

もちろんこれで終わりではありません。全体の3分の2が終わって、ここからが圧巻の解決編です。すべての勘違いが正されていき、パズルのピースがきれいにはまっていきます。しかし最後のピースが見つからない。『ナイン・テイラーズ』において残る最後の謎は殺人の方法。どうやってその死体は殺されたのか。死因だけがわからないまま、物語はさらに時を進めていきます。

 

最終章のドラマチックな展開はもう素晴らしいのひとことです。冒頭から伏線として語られていた治水事業への不安が的中しフェンチャーチの村が大洪水に見舞われます。最後のアクションシーンはウィムジイ卿シリーズ第2作『雲なす証言』なんかを思い出しますね。その洪水の直後にウィムジイ卿は真相を悟ります。死因はなんだったのか。誰が殺したのか。とてもシンプルなのにずっと盲点だったトリック。再読しても最初読んだときの衝撃はまったく薄れていませんでした。なにがそこまで衝撃だったのか。単純にトリックがわからなかったというだけではなく、そのトリックが意味するものの怖さ、不気味さ。それが衝撃だったと同時に、ここまでの長い物語はこの最後のページのためにあったのかという、パズルが完成したときの達成感のような喜びを驚異をもって感じました。見えているのに見えていない。人間の闇に潜む盲点をうまく描き出した作品として本書は横溝正史『獄門島』と似ているところがあるように思います。

 

『ナイン・テイラーズ』では名探偵ウィムジイ卿も最後の最後まで事件に、あるいは鐘に翻弄されて、真相の解明も快刀乱麻を断つかのごとくというわけにはいかず、微妙な空気が残ります。そこがまた本書の魅力でもありますね。まだなにか解明されていないものが残っているかのような不思議な謎とき。理屈では割り切れても、割り切れないなにかがある。闇に光を当てるといっそう闇が深くなるような逆説。こういう推理小説が私は大好きなんだなあとあらためて思った次第です。

ナイン・テイラーズ (創元推理文庫)

ナイン・テイラーズ (創元推理文庫)

 

 

創元推理文庫『世界推理短編傑作集3』読了

古い探偵小説が現在でも気軽に読めるというのはなんて驚異的なことだろうか。それも海外の100年近くも昔の作品が日本語で読めるというのは。

 江戸川乱歩が編んだ記念碑的アンソロジー『世界短編傑作集』のリニューアルバージョンも昨年12月に3巻までが発売となった。本巻も収録内容にいくつかの変更が加えられて年代順の配置にあらためられている。年代的には1920年代に発表されたとされる10編で構成されている。

 

帯ではクリスティ、バークリーの名前を挙げて「巨匠の代表作を集めた珠玉のアンソロジー」と宣伝されている。たしかに収録作品を見ると、フィルポッツ、クリスティ、バークリーと長編作品のオールタイム・ベストなどでもよく見かける作家が並び、ノーベル賞も受賞したアメリカ文学の巨人・ヘミングウェイの名前もある。しかしその他の作家は知名度的には一段落ちるように思う。私としても『検死審問』のワイルド、『百万長者の死』のコール夫妻はかろうじて知っていた(読んだことはまだない)が、他は全く聞いたこともなかった。そういう作家、作品に巡り会えることがこういったアンソロジーの大きな大きな意義であると思う。誰もなにもしなければ遥か昔に忘れ去られていたであろう作品が(それはクリスティやバークリーも例外ではない。現代でも高い知名度があるということは誰かか取り上げ続けているということだからだ)いまもまだ生きている。これはやはり驚異的なことである。

 

『世界推理短編傑作集』シリーズも残すところあと4巻と5巻。非常に楽しみである。

 

以下、各作品についての感想を。

 

・フィルポッツ「三死人」

私立探偵事務所所員の一人称視点で語られる事件編、捜査編の1章、2章と、所長による解決編の3章という構成の作品。とてもオーソドックスな犯人当てスタイルをとっている。序盤からいかにも探偵小説といった感じで面白い。三人の死体がいかにして出現したのか、その謎解きは探偵役の手記というかたちで語られるが、緻密に組み上げられた世界観のおかげでとてもドラマチックな結末に仕上がっている。本作を読み終わって、そこそこ長めの短編ではあるが、もっともっと長い作品を読んだような感じがした。

 

・ワイルド「堕天使の冒険」

カードゲームにおけるイカサマがテーマの作品。たしかにゲームに関する専門用語なんかは意味が取りづらいきらいはあるかもしれない(私もブリッジとかポーカーは門外漢なのでゲームの様相などはさっぱりだった)がそこがわからなくても理解できるようなトリックになっているし、なにより物語が面白い。探偵役の軽妙な語り口もいい。ギャンブルを通して描かれる人間観も興味深く、最後の小切手のクダリはその傲慢さや卑俗さも含めて好きだった。

 

・クリスティ「夜鶯荘」

もうなにも言うことはない笑。クリスティだ。めちゃくちゃ面白い。語彙力が死ぬ。とにかくこれがいちばん面白かった。好きです。

 

・ジェプスン&ユーステス「茶の葉」

とある有名な密室トリックが使われている。推理小説好きでなくとも、このパターンを知っている人は多いと思う。子供向けの漫画なんかでも出てきたし。このトリックの初出はどこなんだろうかってところがとにかく気になる。時代背景などを考えると、当時はおそらくかなり新しいトリックだったのではないだろうか。その時代に読んでいたら全く違った感じを受けたんだろうなぁ。

 

・ウィン「キプロスの蜂」

医学者探偵の古典といえばソーンダイク博士ものがやはりまずは頭に浮かぶが、本作の探偵役も同様のキャラクターで、謎解きの流れなんかも似ているタイプのように思う。たしかに論理的ではあるがその他の可能性をあまりにも簡単に無視してるとしか思えない展開とか。ある意味きれいすぎるこういうタイプのプロットは個人的に好きじゃない。

 

・ロバーツ「イギリス製濾過器

このトリックは面白い。実際にこれをやっているところを想像するとなおさら面白い。飛び道具を使うタイプの密室は多くあるが、こんなのアリ? でもこういうの大好き。現代でも通じるようなアカデミックの世界への批判となっているストーリーもなかなかよかった。

 

ヘミングウェイ「殺人者」

ハメットやチャンドラー、後にハードボイルドと呼ばれるジャンルの源流となったとされるヘミングウェイ。黒ずくめの男というキャラの原型はここのあるらしい。とても短い作品で登場人物の背景などは詳しく描かれないが、まるで劇でも見ているような感じで情景がありありと浮かぶ。これは原文のリズムで読みたいとも思う。

 

・コール夫妻「窓のふくろう」

ある意味このトリックは現代の読者にはとてもわかりづらいように思う。前述のカードゲーム以上に。だってこの時代の電話がどんなだったかって知らんわ。殺害の状況はなんとなくわかったが、やはり詳細に目に浮かぶとまではいかなかった。しかしこの殺害のトリックよりも、本作のタイトルにもなっているキーワード、状況のトリックの方がメインだろう。見えているのに見えていない。このタイプのトリック、大好き。

 

・レドマン「完全犯罪」

物語の冒頭から「世界で最も偉大な」探偵が出てくるという、ちょっとブチ上げすぎじゃない? って設定からすでにトリックは始まっている。完全犯罪はいかにして達成しうるかという議論から物語は始まり、この世界で最も偉大な探偵が手がけた事件に話が移り、なんとも皮肉な展開を見せる。短いながらも効果的などんでん返しと微妙な謎が残る終わり方。とても面白かった。

 

・バークリー「偶然の審判」

ご存知『毒入りチョコレート事件』のプロトタイプ。これだけ読むとシェリンガムがわりとしっかり名探偵をしているのでちょっと腑に落ちないところはある(そこか?)。『毒入りチョコレート事件』を読んだのはもう随分と昔のことなのであまりよく覚えていないがこの短編のトリックは覚えていた。長編版も再読したいところ。

 

 

新春おみくじガチャ2019【オンエア・エムステ・FGO】

あけましておめでとうございます。今年の目標はもう少し更新頻度を上げる、というのはちょっとハードルが高いので、更新が途絶えることのないように続けていきたい所存です。そっちこそハードルが高いのかもしれない(?)ですが、本年もよろしくお願い申し上げます。

 

正月といえば、おみくじあるいは福袋、なにかと運を試される機会が多いもので、ソシャゲ界隈でも例に漏れず、年が明けると同時にキャンペーンが始まるのがすっかり定着して恒例となった印象。やっぱりね、運試ししたいからね。そんなところへ確定ガチャとか最初の10連半額とかしてくれたら回すしかないわけで。ただどこのソシャゲもそんな感じだから割引率が渋いと回す気にならないというのもあったり、あんスタくんとかあんスタくんとかあんスタくんとか。以下、各ソシャゲの初ガチャの結果。

 

FGO、今年の福袋は限定SSR確定の闇鍋ガチャ。個人的にはこの仕様はとてもありがたい。クラス別とか地味に縛りがあるとほしい鯖に対する期待が高まる分ハズれたときの反動が痛いから闇鍋でいいのです。闇鍋で。それでもちゃんとお朕朕ランド引くからね。

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はい、結果は謎のヒロインXでした。未所持鯖でよかった本当に。まだ引けてないお朕朕ランドはCBCで引くからね。大丈夫、問題ない。

 

 次いで、オンエア! 年明けと同時に始まったジュエルパーティースカウト、いわゆるひとつのステップアップガチャというやつですね。最初の10連は半額で30連目、50連目でSSR確定。無償星でも回せるのがありがたい。そしてしれっと限定カードが復刻してるのはもっとありがたい。

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最初の10連でいきなり恒常SSR葵。幸先いいスタート。しかし20連目は案の定爆死。そりゃね、次が確定だからね。で、

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30連目の確定枠は限定SSRみやくんかわいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

山登りイベのときは引けなかったから本当に嬉しい。これは大吉ですわ。

 

エムステくんは新春ガシャと限定復刻ステップアップがお正月キャンペーンの2本柱。新春ガシャは1連につき1枚もらえる交換券を集めて景品と換えるシステム。ただ星の割引はないし、景品もイマイチなのでこれはスルー。限定復刻を1周できるだけの星は貯まっていたのでこちらを。

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で、スクショ取るのを盛大にミスったので上の左から4枚が限定復刻ステップアップ40連までで出てきた未入手カード。クリス先生は恒常だが他3枚は限定カード。なかなかいい結果では。中吉ってところ。

 

そしてあんスタくん。お正月は相変わらず渋いですね。いつものこと。おみくじ大吉で星5確率2倍というのがあるけど、正直そんなにうまくないんだよなぁ。ここで散財してしまうと数ヶ月後の周年で痛い目にあうので温存ですね。今年は大型アップデートも控えてるし、ガチャに関してはそのタイミングでなにかありそう。ということで、最後に今日のおみくじの結果。無難に中吉。全体的に見てもそんなところでしょうか。

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【読書】今年読んだ本を振り返る【2018】

自分のなかでのコミケも終わって、いよいよ年の瀬、長かった2018年もそろそろカーテン・フォール。なにかと振り返ることが多い時期ですが、自分の場合はやはり読書。今年はなにを読んだっけか。正直いうともうほとんど覚えてません。読んだはしから忘れていくのが読書なのだから当然っちゃ当然ですね。それでも強烈な印象を残した本が今年もたくさんありました。その辺を中心に今年読んだ本を振り返っていきたい。
 
さて、そもそも今年読んだ本のタイトルをすべて覚えているかといえば、そんなわけがなく、そんなときに重宝するのが読書メーターさん。今年も本当にお世話になりました。管理人のアカウントはこちら→ https://bookmeter.com/users/96534
 
で、読書メーターの記録によると、自分が今年読んだ本は合計70冊。分冊本もいくらかあるので作品数でいえばもう少し減る印象。とはいえ長編も含んだアンソロジーなどもいくらか読んでいるのでもしかしたら増えるかもしれない。ま、どう数えるのは置いておいて、きりがよいので70冊ってところで。
 
だいたいにおいて人間の記憶ってやつは古いものから薄れていく。だからある期間のことを振り返るとなると、最初の方のことは印象としても薄い。やはりよく覚えているのは近くのことで、ここ最近は読書数ががっつり減っていたから、この70冊の大半は今年の前半に集中していることになるのは間違いないところ。そう思うと、70冊という数字は思った以上に読んでいたなぁという印象になる。けれど後半読めなかったから、もっと読めたはずなのにという印象にもなる。なんとも微妙なところ。
 
70冊の中身を見ると、9割5分くらいが推理小説である。あとはSFとか。たしかに普段からミステリを読むことが多いけれど、これほど偏った年はなかったかもしれない。図らずも2018年はミステリの年になったようだった。ただ、読んだ作品は古いものばかりで、新作はひとつもなかった。
 
作者別で見ると、横溝正史がいちばん多くて11冊。次いで二階堂黎人の7冊。飛び抜けているのはこのおふたりで、その他は広く浅くといった感じ。
 
具体的に作品名を挙げていきましょう。今年新しく読んだ本のなかでとりわけ印象に残っているものは以下の通り。
 
殊能将之『キマイラの新しい城』
島田一男『古墳殺人事件』
詠坂雄二『遠海事件』
法月綸太郎『ノックス・マシン』
小栗虫太郎『人外魔境』
麻耶雄嵩『螢』
小松左京『継ぐのは誰か?』
太田忠司『月光亭事件』
カーター・ディクスン『九人と死で十人だ』
ジョン・ウィンダム『トリフィド時代』
エラリー・クイーン『シャム双子の謎』
アントニイ・バークリー『ジャンピング・ジェニイ』
ドロシー・セイヤーズ『殺人は広告する』
 
このあたりでしょうか。いずれも過去の名作ばかりで満を持しての読了といったところ。どれをとっても最高に面白かったが、いちばんを選ぶのならアントニイ・バークリー『ジャンピング・ジェニイ』。探偵役が事件を揉み消そうとする言語道断なブラックミステリー笑。やはりバークリーの作風は大好きです。迷探偵シェリンガムのキャラクターも大好き。
 
 
今年は昔読んだ本を再読することも多かった。再読本は以下。
 
中井英夫『虚無への供物』
横溝正史『獄門島』『夜歩く』
高木彬光『刺青殺人事件』
坂口安吾『不連続殺人事件』
創元推理文庫『世界短編傑作集』の新版『世界推理短編傑作集』
 
いずれも説明不要の傑作ばかり。あらためて読んでみて初読時以上の衝撃を受けたように思う。単純に物語として面白いというだけでなく、推理小説としていかによくできているかとか、また違った視点で読むことができて楽しかった。
 
思うにやはり読書とは人生そのものであるということ。人の記憶はあいまいで感情や印象に左右される。本そのものは紙に刷られたインクの染みなのだから劣化はあっても手を加えない限り勝手に変わるものではない。しかし読む方の人間は変わる。年を経るに従っていろんなことを経験して知識の量も増えて感じ方なんかも変わる。そうなると読書も変わる。本そのものは変わらないはずなのに同じ本は二度と読めない。だから読書は面白いし、死ぬまでやめるわけにはいかないと、本当にそう思います。
 
今年も残すところあと1日。もう1冊くらいは読めそうだ。そうなると今年は71冊ということになる。さて、来年は何冊読めるだろう。少しでも積読を崩せるように善処したいです。
 

コミックマーケット95にサークル参加してました。

冬ですね。冬といえばコミケですね。
平成最後のコミケ、おつかれさまでした。
 
前回から更新が途絶えていたのは概ね管理人の怠惰なせいでありますが、冬コミの原稿に追われていたせいでもありました。
過去形です。コミックマーケット95にサークル参加してました。こういうのは前もって宣伝するべきでありますが、めんどくさかったため、原稿で力尽きていたためブログを更新する気力がなかったのです。
 
今回出した本はオリジナルの青春小説です。少年同士の友情やら恋愛やらがメインのラノベちっくなものです。久しぶりにわりとしっかり小説を書いたのですが、やはり楽しいものですね。めちゃくちゃしんどいものでもありますが。
 
思えば、はじめて小説を書いたのはもう10年以上も昔のことになります。それ以来、書きたいものだけがたまりにたまって、なにひとつかたちにすることができませんでした。生来の完璧主義的な気質が見事に裏目ってるパターンですね。なので今回は作品の完成を目指さず、とにかくできたところまでで本を出す、これだけを目標にやってみたら、なんとか本を出すことはできました。デザインやらなんやらは最低限読めるだけのもので、普通紙にコピって綴じただけのものですが、それでも紙の本ができたというのはやはり感慨深いものがありました。
 
なにもできないまま無為に時間だけが過ぎていくよりはよかったのではないかと思います。なにげに同人イベントで本を出すのははじめてで、はじめてだからこそちゃんとしたものを作りたい、と思っていると絶対に本は出ない、だからこれでよかったのだと思います。
 
今回出した本の中身はまだまだ書きかけのものなのでまた機会を改めて完結版を出したいところです。まだまだやりたいことは尽きない、にもかかわらずもう随分と人生の時間を無駄にしてきたし、それはたぶんこれからもなかなか変わらないとは思うけれど、少しずつやれることをやっていきたいと思います。
 
冬の新刊についての覚書
・使用ソフトはAdobe InDesign CC 2019
・本のサイズはA5よりちょっと小さい(194mm x 140mm)
・本文は2段組、20字×22行
・印刷、製本は秋葉原製作所さんにて
・紙はコンビニの印刷機とかと同じやつ
・中綴じ40ページ
 
今回インデザインを使ってみて気づいたのはデフォルトの設定だけでは思ったような文字組みができないということ。そこまでいじってる余裕が今回はなかったのですが、次回は文字組みの設定もいじってみたいところです。あと表紙とかもうちょっと頑張る。
 
あらためて、冬コミ、そして2018年、ありがとうございました。
来年もよろしくお願い申し上げます。