懐風堂日誌

同人サークル・少年迷路主宰 五戸燈火の日記

創元推理文庫『世界推理短編傑作集1』、読了。

江戸川乱歩が編んだ世紀の必読アンソロジーが全面リニューアル」という謳い文句がオビに踊る。そう、多くの探偵小説好きがお世話になったであろう『世界短編傑作集』の改題・新カバーバージョンである。創元推理文庫さん、いい仕事しすぎでは?
 さて、旧版からの変更点は以下のようなもの。
 
・ポオ「盗まれた手紙」とドイル「赤毛組合」の2作を新たに収録。そして旧版では1巻に収録されていたバー「放心家組合」は新版では2巻へと移った。つまり7引く1足す2で新版の1巻は8作品の収録となる。
チェーホフ「安全マッチ」が原語からの直訳に。従来のものは英語からの重訳だったとのこと。
オルツィ「ダブリン事件」が深町眞理子氏による新訳に。旧版は宇野利泰氏の訳だった。また底本がエラリー・クイーンのアンソロジーだったのを初出の「ロイヤル・マガジン」へと変更とのこと。
・巻末には戸川安宣氏による新解説。
 
 新版短編傑作集においては旧版では収録が見送られていたポオやドイル、チェスタトンの作品も収録。まさに大乱歩の意志を受け継いだ完全版といったところだろうか。胸やら目頭やらいろんなところが熱くなりますね。
 
 私自身は追加作も含めて約4年ぶりくらいの再読ということとなった。忘れている部分も多くあってとても楽しめたし、そういえばこんな話だったなぁと思い出すものばかりで懐かしい気分に浸ることができた。この短編集で知った作家も多くあって、隅の老人の事件簿や思考機械の事件簿は読んだけれど、マーチン・ヒューイットの事件簿はまだ読んでいないから早く読まねばならない。いろいろなことを思い出す。続刊が楽しみである。